不整脈薬物療法

■薬剤各論

  • 消化管からの吸収が良好で、血中濃度の立ち上がりが速い薬剤として、ピルジカイニドフレカイニドプロパフェノンシベンゾリン
  • シベンゾリンジソピラミドなど抗コリン作用を持つNaチャネル遮断薬は房室伝導を促進し、頻拍となることがある。
  • ピメノールシベノールリスモダンはインスリン分泌を促進、低血糖に注意。アスペノンアミサリンプロノンメキシチールは大丈夫。インスリンの分泌には、膵β細胞のATP感受性カリウムチャネル(KATPチャネル)が関与している。食事などで血糖値が上昇し、ブドウ糖が代謝されてできるATPが増加すると、膵β細胞のKATPチャネルが閉鎖する。すると、β細胞は静止電位を維持できなくなり、膜電位の変化によって、電位依存性のカルシウムチャネルを開放、細胞内にカルシウムが流入し、その刺激でインスリンが分泌される。ジソピラミドシベンゾリンの主たる作用部位はいずれもナトリウムチャネルであるが、どちらの薬剤にも、本来の働きとは異なる、KATPチャネルに結合してその機能を阻害するという作用が見い出されている。すなわち、このKATPチャネル抑制作用によって、インスリン分泌が促され、低血糖状態が生じるものと考えられている。

●コハク酸シベンゾリン(商品名シベノール)

  • クラスⅠa
  • 腎排泄型、透析患者禁忌。
  • レビトラ、アベロックス、フェアストン併用はQT延長を起こすおそれあり、併用禁忌。
  • β遮断剤のプロプラノロール(商品名:インデラルほか)併用によりシベンゾリンの作用増強、併用注意。
  • 副作用に間質性肺炎、低血糖
  • 腎機能の低下した患者あるいは高齢者ではクリアランスが小さくなり、血中シベンゾリン濃度の上昇に基づく低血糖に注意。相互作用により薬剤の効果が増強される場合も低血糖に注意。
  • 構造上の特性から、抗コリン作用は弱いと言われている

●塩酸ピルメノール(ピメノール)

  • クラスⅠa
  • 頻脈性心室性不整脈のみ保険適応、心房性にも効果あり

●リン酸ジソピラミド(リスモダン)

  • クラスⅠa
  • すべての抗不整脈の中で最も強い陰性変力作用、心不全誘発に注意
  • 腎障害では投与量調節。リスモダンRは透析患者禁忌。
  • スパラ、アベロックス併用でQT延長

●塩酸メキシレチン(商品名メキシチール)

  • クラスⅠb
  • 副作用で間質性肺炎、過敏症症候群

●塩酸アプリンジン(商品名アスペノン)

  • クラスⅠb
  • 心機能抑制作用は弱く、抗コリン、β遮断は認められない
  • Tmax=2~4hr、T1/2=投与量に依存して延長、不整脈患者に60mgを反復経口投与した場合、血漿中濃度は7~14日でほぼ定常状態に達し,その後の消失半減期は約50hr。

●塩酸ピルジカイニド(商品名サンリズム)

  • クラスⅠc
  • 頻脈性不整脈 Max225mg、腎排泄型、クラスⅠc(APD不変)、ジルテック併用注意
  • Tmax=1~2hr、T1/2=4.8hr、有効血中濃度0.2~0.9μg/ml
  • 早期に血中濃度↑、発作性上室性頻拍などの停止目的に屯服100~150mg、ただしBP↓に注意、初回は院内で安全性を確認しながら
  • 副作用で心室頻拍、心室細動
  • PQ間隔及びQRS幅が延長すると、副作用発現の可能性が高くなる。

●塩酸フレカイニド(商品名タンボコール)

  • クラスⅠc
  • Tmax=2~3hr、T1/2=11hr、有効血中濃度0.2~1μg/ml

●塩酸プロパフェノン(商品名プロノン)

  • クラスⅠc

●塩酸アミオダロン(商品名アンカロン)

  • クラスⅢ
  • 副作用に洞徐脈、洞停止、ペースメーカ埋め込みが必要な房室ブロック、心室に対する催不整脈作用、甲状腺機能障害(機能亢進と機能低下)、肺毒性と肝毒性、皮膚、眼、神経系、消化器系に対する影響。

<β遮断薬>

<非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬>

  • 心筋、刺激伝導系に対する作用が強い
  • 冠攣縮による狭心症(多くは安静時狭心症)に著効、労作性でも高血圧合併には有効
  • 単剤でコントロールできない時は、硝酸薬との併用、ニフェジピンとジルチアゼムの併用(ニフェジピンの血中濃度↑)が有効
  • 上室性不整脈に有効、時に心室性不整脈にも有効、心房細動の脈拍コントロールに
  • 洞機能低下、房室ブロック、心不全増悪に注意
  • ジルチアゼム SE急性汎発性発疹性膿疱症

●ベラパミル塩酸塩(商品名ワソラン)

  • 頻脈性不整脈に、心筋梗塞の予防、心仕事量軽減、冠血量増大、虚血心筋での酸素需給バランス調節
  • triggered activityの関与した特発性心室頻拍(右脚ブロック+左軸偏位型)に有効
  • WPW症候群に生じた心房細動には禁忌
  • テオフィリン併用注意、ジゴシンと腎排泄競合

●塩酸ベプリジル(商品名ベプリコール)

  • Kチャネル遮断
  • QT時間を延長させ、R on T型心室性期外収縮を引き金に多形性心室頻拍を生じる危険があり、心電図の経過をチェックする必要がある。